朗読教室でも、朗読サークルでも、私が講師をしているところでは必ず北原白秋の五十音の音読をします。
思い起こせば高校時代に演劇部にいたときも、アナウンス学校の最初の授業でも、必ずこの詩を声に出して読んでいました。
発声滑舌の練習にうってつけの教材。アナウンサーだけでなく、俳優さんや声優さんなど声を出す仕事をされている方は必ずこの詩に触れてきたのではないでしょうか?
『ガラスの仮面』でもこの詩を読んでいるシーンがありますね。
さて、発声滑舌の練習としてこの詩を読んでいくのですが、レッスンの時は言葉の一つ一つをゆっくりと丁寧に読むことを心がけています。
口の周りの筋肉をほぐしていく練習なので、ちょっと大袈裟に、
「あ・い・う・え・お」
と、ひとつひとつの音を確認しながら声に出していき、口のカタチも確認していきます。
それから子音の発音にも注意しながら声に出していきます。
「い」なのか「し」なのは「ひ」なのか。
口のカタチが曖昧だったり、滑舌が悪く子音の発音が不明瞭だと、「遺体」なのか「死体」なのか「額」なのか分からなくなってしまう(他にいい例えがないものか…)会話をしている中で、『猫の額』なのか『猫の死体』なのかでは大違いです。
滑舌が甘いと、あらぬ誤解を受けてしまうことがあります。
これは私がラジオ番組の中でフリートークをしているとき、女優の原幹恵さんがステキだという話をしていて、「はらみきいえ」と言っていたつもりだったのですが、リスナーの方には「ハラミ系」と急に焼き肉の話をし始めたものと思われ、混乱してしまったそうです。
それから、伊藤さんが電話対応していた時に、
「それじゃあ資料は伊藤宛に送ってください」
と伝えたところ、後日、『糸様』という宛名で送られてきたこともありました。
なかなか滑舌が悪いのを治していくのも大変ですが、ぜひこの北原白秋の『五十音』をゆっくり丁寧に声に出して読んでみてください。
全部読むのに5分もかかりません。
はっきりくっきりとした発音ができれば、スムーズに音読、朗読ができますし、あらぬ誤解を招くことも避けられます。
なかなか難しいんですけどね。